ルミン®Aの有効成分である「クリプトシアニンO.A.コンプレックス」には、クリプトシアニンO.A.1、O.A.2、O.A.3の3種類の成分が含まれています。その中で主成分となるのが「クリプトシアニンO.A.1」です。「クリプトシアニンO.A.1」は、株式会社日本感光色素研究所のN(日本)K(感光色素)のアルファベットを用いた社内コードとして「NK-4」といった名称もあり、PubChem等の主要な化学品データベースにも収載されています。
IUPAC Name®
※国際純正・応用科学連合により決められた化合物名
1-ethyl-4-[(1Z,3E,5E)-1-(1-ethylquinolin-1-ium-4-yl)-5-(1-ethylquinolin-4-ylidene)penta-1,3-dien-3-yl]quinolin-1-ium;iodide
ルミン®Aの有効成分である「クリプトシアニンO.A.コンプレックス」は、もともとは、写真の増感用に合成された「感光色素」の一種でした。「感光色素」の研究は、写真技術の発達とともに19世紀末頃より、ドイツを中心に盛んになりました。
その後、生体材料への染色性の探求から、抗菌剤として働く作用や寄生虫に対する殺作用も発見され、医学的研究も進められるようになりました。
日本でも1920年(大正9年)頃、財団法人理化学研究所の尾形輝太郎博士を中心に、感光色素合成に関する研究が盛んとなり、1924年(大正13年)には、「クリプトシアニンO.A.1、O.A.2、O.A.3」というルミン®Aの有効成分「クリプトシアニンO.A.コンプレックス」と同様の構造を持つ、「感光色素」が合成されました。
1930年代(昭和5年~)に入ると、満州医科大学の波多野輔久博士により、これら「感光色素(クリプトシアニンO.A.1、2、3)」の医学応用への研究が始まり、その中で創傷治癒(一般的には傷を治す)に対する効果が発見されたことから、1940年代(昭和15年~)には、さまざまな臨床研究が実施されました。
戦後の1947年(昭和22年)に、GHQの指令により、財団法人理化学研究所が解体され、それを機に尾形研究室の成果を継承し、株式会社日本感光色素研究所(後に、株式会社林原に統合される)が設立されました。1951年(昭和26年)に、この株式会社日本感光色素研究所から、「クリプトシアニンO.A.コンプレックス」を有効成分とする医薬品「錠剤ルミン®A」が発売されました。